第61回日本消化器がん検診学会総会 The 61st Annual Meeting The Japan Society of Gastrointestinal Cancer Screen

会長挨拶

第61回日本消化器がん検診学会総会
会長:中島 滋美
(滋賀医科大学地域医療教育研究拠点准教授
(兼)JCHO滋賀病院総合診療科部長)

 この度、第 61 回日本消化器がん検診学会総会の会長を任されました中島滋美です。

 さて、2019年から発生しました新型コロナウイルスによる感染症(COVID-19)がパンデミックとなり、現在大問題になっております。検診は不要不急と考えられた時期があり、一時がん検診の受診率が低下しました。しかし、日本の消化器がん死亡率(人口10万対)はCOVID-19死亡率の10倍以上であり(中島滋美ら、医学のあゆみ 2021; 277(12): 1084-1085)、COVID-19を恐れるあまりがん検診を実施または受診しなければCOVID-19より死亡率の高いがんの死亡者数が増加してしまう可能性が危惧されています。もちろん感染拡大を防止することは現在最も重要な課題ですが、感染拡大時においても感染対策を十分実施したうえでがん検診を継続する方がよいと私は考えております。

 このコロナ禍は現代社会に様々な問題を提起しましたが、一方、コロナ禍で大きく進歩したものもあります。例えばWeb会議の日常化やバーチャル空間の活用などがあります。学術集会も例外ではありません。このような変革の中で、『“一隅を照らす”-コロナ禍にも絶やさないがん検診の灯-』をテーマに掲げ、Web開催の学術集会を開催することにしました。状況によっては現地開催とのハイブリッド開催も視野に入れておりますが、Web開催のメリットを十分生かした学術集会を開催したいと考えております。

 「コロナ禍においてもがん検診の重要性を認識し、がん検診の歴史の灯を絶やさない」というメッセージを込め、これからの検診について本学会で議論し、がん死亡率の減少に貢献し「社会の一隅を照らす」ことを本学術集会の目的とします。このような趣旨をご理解いただき、ぜひご参加くださいますようよろしくお願い申し上げます。

2021年8月4日